寺だより

2009年12月号

お大師様は、私達が地球環境や自然環境に対してどのように接すべきかを説かれています。そのお考えを簡単に紹介してみます。

お大師様は、この宇宙に存在している一切の有情や非情、すなわち人や動物や山川草木の一切のものがその根底に大日如来の「いのち」を共に持っており、 この「いのち」を共に生きていることをマンダラの教えとして明らかにしておられます。
すなわち、私たち人間の「いのち」も、獣や鳥や草木の「いのち」も、あるいは細菌やウイルスの「いのち」も、同じ「いのち」としてこの地球上で生きているということです。 つまり、お大師様は、万物の「いのち」の平等性を説いておられるのです。
もちろん、その生き方は人間と獣とでは異なります。人間は人間としての、動物は動物としての生き方、在り方の違いが大切なのです。 人間は人の道を求め歩むところに、人間としての特性があるのです。
お大師様は、環境問題をこのような「いのち」の平等性と違いから捉えておられるのです。人間には万物を支配する特権はありません。 人間の「いのち」と優れた能力は、実は他の生き物や自然環境の「いのち」とエネルギーによって維持されていること、 つまり人間は他の生物や自然環境によって「生かされている」ことを心から悟らなければなりません。 このような「こころ」のあり方によって、はじめて地球温暖化を止めることができるのだと思います。
たとえば、自然の万物にはゴミとして捨てる物は何一つありません。すべてが私たちを生かしている「いのち」なのです。 「もったいない」という心があれば、万物のすばらしい「いのち」に気がつきます。お大師様の「いのち」の教え、 マンダラの教えをいつも心に持って環境問題を考えてみましょう。

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